2012年1月14日土曜日

NYY and SEA Trade Analysis; Michael Pineda, Jesus Montero and Hector Noesi Trade

ここまでのトレードについて全然書けてませんでした。なかなか30球団カバーするのは大変で、そこまでやる意味があるのかと言われれば謎ですが(苦笑)。

さて本題。今オフにやるんじゃないかとは言われていたが、NYYがローテ強化のためにJesus Monteroをとうとう放出。SEAから昨季新人王を争った若手剛腕右腕のMichael Pinedaを獲得。どちらも非常に有名なTop Prospectだった選手で、共にMLBデビューもさほど苦しむことなく、通常であればアンタッチャブルになってもおかしくない選手だが、チームの台所事情から交換トレードに出されることになった。逆に言えば、これ以外の多くのProspectでは釣り合わないということで成立しなかっただろうレアなケース。

ただSEAがPinedaを失ったローテに平凡ではあるがNoesiをパッケージを受け取るのは良いとして、High CeilingなJose CamposをNYYに送ったのはイマイチ訳がわからない。残念ですが、個人的にはNYYの印象が良い。SEAのJack Zduirensik GMはSEAファンには評価が高いようだけど、何となくトレードはいつもオーバーペイしているような印象が強い。


[Transaction]

NYY Acquired : RHP Michael Pineda, RHP Jose Campos

SEA Acquired : RHP Hector Noesi, DH/C Jesus Montero


[Player (to NYY)]

Michael Pineda, RHP

SEAの06年のInt. FA。先発ながら、平均で95 mph、最速で100 mphを超えるファイヤーボーラーで、その割にMinor時代からBBが少なく、パワーと制球を兼ね備えた稀有な若手右腕だ。セカンドピッチはキレの鋭いスライダーで、この2つのクォリティーの高さから、先発ながらチェンジアップをあまり投げなくても何とかなっている。今でも近い将来No.2スターターになれる選手だが、チェンジアップの習熟が進めば、エースとして十分な選手になりうる。

昨季は、Super 2回避のためにMinorスタートかと思いきや、STで印象的な投球を見せ、序盤は新人王候補筆頭の活躍を見せた。まだ若いだけにさすがに後半息切れをしたし、もう少し緩い球を効果的に使えればとも思うけど、結局シーズンを通じてほぼローテを守ったし、新人ながらK/9が9を越え、BB/9が3以下と、数字は既に素質を十分に表している。1年間ロスター入りしたので、保有期間はあと5年で、Minorに落とす気がないならほぼ確実にSuper 2になる。


Jose Campos, RHP

09年のSEAのInt. FA。それほど昇格速度は速くないし、今季もSS-Aに留まったが、今季の成績は素晴らしく、体格の良さと、最速98 mphとも言われる速球から、SEA傘下でもDanny Hultzen、Taijuwan Walker、James Paxton、Nick Franklinのトップ層に次ぐレベルのProspectとの評価を受けている。PinedaやFelix Hernandezと同様、奪三振力に加えて制球力を備えているのも魅力。まだ先は長く、どうなるかわからないものの、上位ローテの可能性を十分に持ったポテンシャルの高い投手だ。


[Player (to SEA)]

Hector Noesi, RHP

NYYの04年のInt. FA。ゆっくりMinorの階段を上り、昨季MLBデビューを飾った。速球の平均はリリーフに移った昨季で93 mph前後とさほど飛び抜けてはいない。Minorを通じて奪三振率は平凡で、どちらかと言えば、スライダー・カーブ・チェンジアップと多くの球種をバランスよく投げることで狙いを外し、ゴロに仕留める。制球力は非常に高く、Minor時代はずっと先発として投げてきた。ただNYYで先発を務めるにはスタッフ的に弱く、ロングリリーフを中心に投げていた。残り5年で、新CBAの関係で、ひょっとしたらSuper 2になるかも。


☆ Jesus Montero, DH/C

NYYの06年のInt. FA。デビュー当時から、Jorge Posadaを彷彿とさせる強打と拙守で有名な選手だが、打撃の方がとんでもなく、将来はDHと言われながらも、真のTop Prospectの1人と見なされ続けてきた。09年に19歳でAAに上がってから、MLBまでやや時間がかかったが、それは本人の問題というよりは、NYYのMLBチームの状況が大きい。昨季セプテンバーコールアップでとうとうMLBに上がってきたが、当然のごとくその打力を見せつけ、若干落ち気味だったステータスを回復している。コンタクト・選球眼・パワーのいずれもが最高クラス。一方守備に関してはMLBで正捕手としての常時出場はムリと言われるように、捕球・動き・肩とあまり見るところがない。あと6年保有できるだろう。


[Team Analysis (NYY)]

11年は開幕前はBOSと比べて先発が弱いと言われたが、Freddy Garcia、Bartlo Colonといったベテランがまさかの復活。上位の先発になるとは見られていなかったIvan Novaまでもがしっかりローテを守り、故障者続出のBOSに対してアドバンテージを築くことができた。ただこのような不確かな状態を、NYY帝国としては来季も続けるつもりはなかったらしく、一応F. Garciaとは再契約したものの、さらなるアップグレードを狙ってきた。さらにその直後に黒田博樹とも契約。

一応これで、C. C. Sabathia、Pineda、黒田、NovaにF. Garcia、Phil Hughes、A. J. Burnettとかなり余剰が出ることになった。黒田を獲るなら、枚数的にはPinedaまで獲る必要はなかったとも言えるが、貴重な先発ローテ上位候補だし、Hughesはリリーフ経験もあるので、状態が戻らないならそちらで使える。Burnettは年俸負担になるだろうがトレードを模索するのかも。出せなければ契約的に使うしかない。Novaは2年目でどうなるかわからないし、F. Garciaも格安だから、いざとなれば出すなりどうとでもできる。場合によってはPinedaのサービスタイムを考えて少しMinorに送ってみることもできなくはないのかも。

出したものではNoesiはNYYで先発が務められる器ではないし、特に問題はない。やはりMonteroと釣り合うかどうかということであるが、捕手として使う気があったならともかく、DHとしては、いかに打力が高くても、NYYには使いどころが難しい。何と言ってもAlex Rodriguez、Derek Jeter、Mark Teixeiraなど、守備の負担を減らしながら使いたい選手が多すぎる。Jeterと再契約するかどうかは別として、A. Rodriguezは選手生命を伸ばすためにも、13年にはフルのDHになってもおかしくない。

Jorge Posadaが引退するようで、その後釜としては、キャラクター的には非常にハマる選手ではあったが、NYYは彼を捕手としてはあまり買っていなかったのだろう。Posadaのようにムリしてでも捕手で使って欲しいと願うファンも多かっただろうが。ポジション的にも捕手はRussell Martinは攻撃はともかく、守備ではリード面で大きな信頼を得ているし、Francisco Cerveliも控えとしては悪くない。AAにはMonteroよりは守備の良いAustin Romineが控えている。NYYほどの打線になれば捕手でそこまで強力なアドバンテージを築かなくても、他のポジションで十分カバーできる。Monteroを捕手で使うメリットはあまりないと言える。

Monteroのバリューは非常に大きかったが、先発中位ならいざ知らず、Pinedaとの交換であれば十分満足できるだろう。昨季はHome/AwayのスプリットでAwayではやや苦しんでおり、SEAの本拠SafecoからYankee Stadiumへの移行はプラスにはならないだろうが、Pinedaのスタッフをもってすれば、これからの成熟による伸びしろでカバーできる範囲だろう。さらにもう一人得たCamposも将来性が高く、スタッフ・体格のある若い右腕ということで、トレード価値も大きい。あとは想像の範囲を出ないが、Pinedaを後輩としてかわいがっているらしいFelix HernandezがFAになったときには交渉の材料としてマイナスにはならないだろう。


[Team Analysis (SEA)]

中軸打者を欲していたのはわかる。Dustin AckleyはHR打者ではないし、Cliff Leeを出して得たJustin SmoakもMinorでの高評価が嘘のように伸び悩んでいる。傘下にも打者Prospectで言えば長打力を落としたFranklinくらいしかおらず、外部からの獲得は必須だった。Monteroは4番打者としてうってつけだし、まだ若くて6年格安でフルに使える。これ以上ない人材だろう・・・打者としてはだが。Monteroは素晴らしい打者だ。しかしDHだ。我慢して少し捕手で使ったり、1Bも練習させたりはするだろうが。

昨季伸びたMike CarpやAckleyは左打ちだし、右打ちの選手が欲しかったというのはある。ただ本拠Safecoは右打者にとって地獄だ。Monteroの打力であろうが、やや長打が削られるのは予想できる。また可能性は低いが、何と言ってもまだMLBで十分な実績を残した訳でもなく、来季MLBへの適応で苦しむこともなくはないかも。しかも出したものはPinedaだ。一応Noesiは先発に対応できるだろうし、Safecoなら先発下位にはハマるかもしれないが、Pinedaとは比較にならない。

まだ若く、あと5年使える、エース級のポテンシャルを秘める、既にMLBに適応した投手を出してまで獲ったのがDHというのは如何なものか。しかもPinedaを出して、MonteroとNoesiでも個人的にはそれなりに釣り合うと思うのだが、更に傘下でも有数の投手Prospect Camposまでつけるとは。Monteroが殿堂入りクラスになると確信しているならここまで出しても良いと思えたのかもしれないが。

そもそも一昨季あたりから、本拠にあった戦いをするために、Small Baseballに向いた人材を集めたのではなかったか?投手が余剰ならともかく、今度は投手を削って打線強化というのは、場当たり的な感じを受ける。傘下にはバリューの大きいWalkerもいるし、何もPinedaを動かさなくても。Hultzen、PaxtonらMLBに近いProspectはいるにはいるが、先発上位になるにはもう一歩という印象を受けるし、むしろWalkerや彼ら(といってもHultzenは出せないが)にCamposを駒に動いた方が良かった気がする。

またAlbert Pujolsはさすがに高すぎたのかもしれないがが、左打ちとは言え、少し値段が下がってくるだろうPrince Fielderを得た方がMonteroよりも即効性に優れるのは間違いない。来季はまだ若手の成長待ちとしても、13年にペナントを争うなら、F. Hernandez、Hultzenにもう1人はローテ2番手クラスが欲しい。Fielderをケチって獲らなかった代わりにPinedaと同クラスの先発をFAで得るならそれほど変わらない金額を出す必要があると思う。

2 件のコメント:

BF さんのコメント...

敵ながら素直にNYYの方がうまくやったなと認めざるを得ません。
あまりにも動きがなかったからモンテロは今オフは出さないのかなとも思ったけど出し時的にもMLBでしっかり爆発してくれた今年のオフがピークだったかなと。NYYからすればCamposも大きいですね。デプスは十分だしノエシよりもCeilingが高い投手のほうが圧倒的に魅力的だしね。

BOSは選択肢が減ってきたなあ。
個人的には腰に不安があるオズワルトよりは黒田のほうが適してると思ってたけど・・・。まあここまで来たら
こちらも先発はそれなりに揃えないと厳しいですね

ララ さんのコメント...

BFさん

John Sickelsさんのサイトとか覗くと、意外とSEAの評判が良いんですけどね。多分それは、Monteroの捕手に望みを持っていることと、制球の良いNoesiがSEAで先発としてそこそこ投げるんじゃないかという予想に基づいてると思います。

ただ個人的には、Montero、NoesiがNYYではどちらかと言えば余剰だったのに対し、SEAが出したのは先発上位と下層のHigh Ceilingな投手Prospectですから、どうしてもNYY-Winに見えてしまいます。一応Hultzen、Paxtonが控えているとはいえ、彼らはMLBで上位スターターになるにはもう一歩物足りないかなとも思うし。

これまでのところ何となくBOSはどこまでOswaltに本気なんだろうってカンジですね。昨季のNYYみたいに、取りあえずBard、Acevesに、Cook、Silvaを加えて6月まで耐えて、どうにも上向かないようならGarzaでも狙うという作戦に内部傾いてたりするのかななんて勘ぐってますけど(^_^;)