2011年8月2日火曜日

CLE and COL; Ubaldo Jimenez Trade

今デッドライン最大の大物Ubaldo JimenezがCLEへ。ここ数年のフラッグディールではベテランを放出しては若手を蓄えていたCLEは、今季は逆にDrew Pomerantz、Alex Whiteという2人のドラ1を出して勝負に打って出た。COLも多くを手にしたが、Jimenezはフランチャイズディスカウントで割安な契約を13年まで結んでいるし、球速低下は気になるけど、戻してくるようならそれなりにCLEも良い動きなんじゃないかと思う。


[Player (to CLE)]

Ubaldo Jimenez, RHP

01年にInt. FAでCOLと契約。09年に4年10Mプラス2年のオプションという破格で延長している。フランチャイズディスカウントも良いとこだ。今季が$2.8M、12年が$4.2Mで13年は$5.75M(バイアウト$1M)のオプションがある。14年も$8M(バイアウト$1M)のオプションがあるが、トレードされた場合はJimenez側から無効にできるそうだ。JimenezはMLB最高クラスの球威を誇るエースで、特に昨季はMLB全体でもトップを争うスターターだった。鞭のようにしなやかな腕の振りから繰り出される、最速101 mphの4シームは、100 mphを頻繁に記録するし、2シームは良く沈む。一方で速球のみの投手ではなく、スライダー、カーブ、チェンジアップといずれも高く評価されるピッチだ。ただ今季は、昨季平均96 mphだった速球が3 mphも下がっており、それに伴い、成績もドミナントなものではなくなっていた。ケガ等の可能性も囁かれている。


[Player (to COL)]

Drew Pomerantz, LHP (PTBNL)

CLEの10年のドラ1。ドラフトではChris Sale (CWS)と共に最高クラスのカレッジアームと言われていた。まだ契約から1年経っていないのでPTBNLとなっているが、彼で決まっているらしい。6'5"と長身なので、ややメカニクスとコマンドの安定感を欠くが、95 mph程度まで出る速球と落差の非常に大きいナックルカーブはどちらもプラスのピッチだ。チェンジアップは平凡だが、今季はHigh-Aで文句なしのプロデビューを飾ったあと、AAに昇格し、ここでも順調な滑り出しを見せている。ローテ3番手から、チェンジアップとコマンドの進歩如何ではフロントラインクラスになり得る。


Alex White, RHP

Pomerantzの前の年、09年のドラ1。ドラフトではStephen Strasburg (WAS)に次ぐNo.2のカレッジ投手とも言われていたが、直前に少し評価を落とした。ドラフト前は97 mphまで投げると言われていたが、プロ入り後は最速94 mph程度。ただショートイニングならもう少し出せるとも。エクセレントな沈む球筋で、ゴロ率が高い。セカンドピッチはスプリッターで、プラスのピッチだ。スライダーもまずまず。コマンドはさほど評価が高くない。球速、サードピッチと共に抜けていないから、先発としては3番手程度かと思うが、沈む球筋で、イニングをしっかり稼ぐだろう。今季はAAAでしっかりしたスタートを切ったあと、MLB昇格していたが、指のケガでDL入り。


Matt McBride, 1B/OF/C

CLEの06年のドラ2s。元捕手で運動能力に欠けるが非常にパワーがある。コンタクトもまずまずで、やや遅めながら、しっかりMinorの階段を登ってきたが、今季はAAAで打てずAAに戻されている。こちらでは打ってるが、評価は落ちただろう。このタイプとしては選球眼もさほど良くない。未だに非常時には捕手を守り、まずまず強肩だが、どこを守らせても守備センスには欠ける。AAAで打てるようになれば、3rd C/Back-up 1B/5th OF/RH-PHなどで使えるかも。


Joe Gardner, RHP

09年のドラ3。94 mphに達するシンカーが主体のシンカーボーラー。スライダーとチェンジアップが弱く、左に打たれる傾向にある。セカンドピッチが不足しているな、というのがはっきりわかるスタッツだが、スライダーだけでも改善すれば、リリーフや最高でローテ5番手にハマるかもしれない。Justin Mastersonの劣化版という感じ。


[Team Analysis (CLE)]

多くを失ってまで勝負をかけてきた。AL-CentralはDET、CWS、CLEが激しく争っており、POを目指すなら、Justin Masterson以外があまり良いとは言えない先発の補強が必須だった。Josh Tomlinはまずまずだし、最近David Huffを昇格させたが、Fausto Carmonaは昨季の復活から再び逆戻りだし、Carlos Carascoも未だに安定感がない。昨季良かったMitch TalbotはケガもありDFAするような状態だった。今季のJimenezは昨季にはほど遠いが、COLから出ることもあるし、ある程度復活するとの読みなのだろう。またそうでもない限り、これだけのものは出せないが。まぁ復活前提だが、かなり安く、最低あと2年は保有できるし、これから数年POを争うはずの若いチームだし、悪くはないと思う。

ただ昨季まで再建期だったチームだけに、柱となりきれている選手も少ないし、少し戦いを急ぎ過ぎではないかとも思ってしまうが。C Carlos Santana、1B Matt LaPorta、2B Jason Kipnis、3B Lonney Chisenhall、SS Asdrubal Cabrera、LF/CF Michael Brantley、RF Shin-Soo Chooと契約の残る選手ばかりで、Grady Sizemoreが今季限りとは言え、これらの選手の成長があれば、さほど戦力ダウンはないと思うし、今季は現有戦力で戦い、来季は真剣にPOを狙いというのでも良かったと思う。まぁ戦力の拮抗していAL-Centralだから狙えるときに全力で、ということかもしれないが。

一方失ったものはかなり大きい。McBrideはCのSantana、1BのLaPortaが共に右打ちだからあまり意味がないが、来年はローテをきっちり任せられるであろう先発Prospectを2人も失った。Gardnerもひょっとしたらと言うレベルだし、元々先発が苦しい状態でこれだけ一気抜けるのはキツイことこの上ない。Jimenezがこのまま下降線を辿るなら?という考えは恐ろしすぎるが、もしそうなった場合、今季のドラ1のFrancisco LindorはSSだし、ローテの穴を埋めるのは困難だ。


[Team Analysis (COL)]

SF、ARIと10ゲーム近く離されてしまったしケガ人も多いので、今季を諦めるのは仕方ない面もあるが、Troy TulowitzkiやCarlos Gonzalezと長期延長して、しばらく戦い続けるのかと思っていたので、あっさりエースを出したのには驚いた。ただGreg Reynolds(06年ドラ1)、Casey Weathers(07年ドラ1)、Christian Friedrich (08年ドラ1)、Tyler Matzek (09年ドラ1)がことごとく失敗気味だし、投手Prospectが欲しいというのはあった。

Jimenezの不調もあったし、もしこのままダメになったら、というリスクを考えれば、Jimenezのようなエース級とは言い難いけど、しっかりローテを埋めれそうな投手2人との交換であれば踏み切るのも理解できる。Whiteもそうだけど、GardnerもゴロボーラーだからCOLにフィットするし、もしかしたら、COLにとっては普通のチーム以上に価値があるかもしれない。McBrideはTodd Heltonが近年好調だし、その代役としては弱いが、年齢的なものもあるし、いて損はないかも。

ただしばらく再建期に入るならともかく、JimenezはCOLで実績を築いてきたエースだし、COLは14年まで保有権があったから、しばらくPOを窺い続けるのであれば、放出は響く。Whiteはタイプ的にもまずまずやる可能性が高いが、コマンドに難のあるPomerantzが打者天国でどこまで期待通りに育つかは少し疑問もある。多くのものを手にした良いトレードではあるが、一般的なブロックバスターほど、大物放出によるメリットは大きくないように感じる。

4 件のコメント:

BF さんのコメント...

お疲れ様です。
ヒメネスはやはりレッドソックスも
しっかりしたオファーしてたらしいですね。
ちょっと中身覗いてみたいがやはりラナウドやワイランドあたりは付いてたんだろうなとは想像してます。

逆に言えば今後もそういう選手を狙う可能性はあるってことですよねー。
ALEでも通用しそうなフロントラインスタータークラスのヤングベテランはやはり魅力ですが
出来ればそういう選手自前から出して欲しいし今年は手持ちの先発だけでいけないとダメじゃないのかと開幕前から思ってたんですけどねー。

CLEは今後2.3年くらいが勝負ですね。
マスターソンもいるし頑張ってほしいチームです。NYYはヒメネスの
肩のメディカルレポ―ト要求して断られたなんて出てたけどやっぱり今期のパフォーマンスに疑問もってたんですかね。Banuelos以外は出しても
おかしくないかなって見てたんだけども意外と渋りましたね(´∀`)
オフにはダルビッシュやハメルズ、ウィルソンあたり狙うんかなあ。

ララ さんのコメント...

BFさん

COLがWeiland、Ranaudo、Middlebrooksに興味って以前出てましたよね。この3人全員っていわれるとさすがに苦しいです。

Lester、Buchholzと2人も自前のエース級を輩出してるから、育成的には悪くないっちゃ悪くないんですけどね。FA組が頼りないだけで。まぁ、Weilandと、その次はBarnesくんに期待です。

今日ちょっと見てたけど、野手は良さげですね~。年棒も安いし。DHはHafnerが埋まってるけど、勝負に行くなら、LaPorta出して、オフにFielderなんて獲れれば凄いですね。

NYYはCashman自体は元々あんましProsect出すの好んでないみたいですしね。オーナーがうるさいだけで。意外と過去のビッグネームが働いてるから、今季は上からせっつかれなかったのかも。

Banuelosはどうかな~。自分は少しOverratedだと思ってますが。若いから評価高いけど、体格的にあまり伸びしろが大きくなさそう。

Hammelsって今年でしたっけ?今でも延長するに一票ですが。ダルビッシュはどうなのかなぁ~。通じると思います?速球系は十分な力があると思うんですけど、決め球のスライダーをあんなに簡単に振ってくれるかな~とか思って見てるんですが。

BF さんのコメント...

あーハメルズはまだFAじゃなかったですねー。もう一年か。
最近はあんまりって言うかほとんどNPB見てないんで今のダルビッシュよく知らないけど、通用するかしないかなら間違いなく通用するとは思います。
強いチームのエース格かって言われるとNPB出身者はどんな投手であれ、まずYESとは言えないかなあ。
200イニング投げるようなタフさはまずNPB出身の選手にMLBでは計算できないですしね。
あと結構環境の変化や捕手とのコミニュケーションの変化なんかも影響すると思うし本人がどう適応するかは簡単には読めないですよね。
でも毎年とは言わずとも強いチームでも2.3番手の働きは出来るんじゃないかなとは思っています。
スライダーは松坂なんかもそうだったけど
WBCでダルビッシュ見てた時は逆に曲がりすぎてコントロールが難しくbなってた感じですよね。より打者の
手元で急激に動くって言うのが理想だろうし全ての球種でリファインしたり
捨てる球種は捨てたりする作業は必要になるんでしょうねー。
でも正直言って松坂よりは活躍するとは思います(笑)

BOSはさすがに松坂で懲りたかなとは思うけどNYYは参戦するんじゃないかなあとなんだかんだ言って思ってます。テキサスあたりもずっと日本市場開拓したがってる感じはするし思い切って行ってももおかしくないかなあとか思ってます。TORあたりもひょっとしたら動くかなあとか。

ララ さんのコメント...

BFさん

そうそう、日本人のスライダーって、曲りが早いんですよね。昔の大塚や斉藤なんかは結構ハードスライダーという印象でよく三振とってましたけど。

MLBはボール見る打者が多いし、ダルビッシュの球速がいかに速いとは言え、追い込んでからスライダーを見切られると意外と苦しむかなとも思ってるんですが。

ただ球速はあるし、2シームとかも得意なので、そういう意味では、速球が通じるならやれそうですけどね。ただあのスローカーブはやめた方がいいんじゃないかな。