2013年12月11日水曜日

ARI, LAA and CWS Trade Analysis; Mark Trumbo, Tyler Skaggs, Hector Santiago, and Adam Eaton Trade

ARIとLAAの間でヒートアップしていたMark Trumboのトレードが、CWSを巻き込む形で決着。元々、Trumboの見返りとしてTyler Skaggsと一対一で、という話からスタートしていたが、LAAは交渉の中で、それ以上を求めていたよう。Pat Corbin、Skaggsを要求なんて話もあって、さすがにやり過ぎだろうと思ったけど、最終的にはあと4年保有できるHector Santiagoまで手に入れて言うこと無し。ARIは一年前は全体でもトップを争う投手ProspectだったSkaggsを気前良く放出。CWSもせっかく育った若手投手を出すには、Eatonは証明され切ってない感を受ける。どう見てもLAAが独り勝ちの印象が強い。


[Transaction]

☆ ARI Acquired : 1B/OF Mark Trumbo, 2 PTBNLs → RHP A. J. Schugel (from LAA), OF Brandon Jacobs (from CWS)

☆ LAA Acquired : LHP Tyler Skaggs (from ARI), LHP Hector Santiago (from CWS)

CWS Acquired : OF Adam Eaton (from ARI)


[Player (to ARI)]

Mark Trumbo, 1B/OF

LAAの04年ドラ18。典型的なパワーヒッターで、順調にマイナーの階段を上って、10年にMLBデビュー。11年は1Bのレギュラーに定着したが、12年はAlbert Pujolsの加入もあり、1B/DH/OFなどをうろうろ。一応3Bも守っており、C-IF/C-OFのユーティリティー的な立ち位置になったが、DH制のあるALということで、ここ2年もレギュラーと同等の出場機会を得ている。

何と言ってもそのパワーが魅力で、毎年安定して30 HR前後を放っている。一方、他に目立った売りを持たない選手で、スウィングは穴が大きく、アベレージは残せない。またこの手の選手としては選球眼が悪く、出塁率は平凡。走塁の貢献が無いのはもちろん、3BやOFとしては底辺クラスの守備力。1B守備に関しては良いスタッツが出ているが、ARIではPaul Goldscmidtの存在もあり、1Bを守る機会は少なそう。今オフが初調停で、残り保有期間は3年。


A. J. Schugel, RHP (PTBNL)

LAAの10年ドラ25。元々は3Bでのプレーが多い2way選手だった。プロでは一貫して投手で、90 mph前半のシンカーが主体だが、ブレイキングボールは今一つ。コマンドも平凡で、13年はAAAで不振。12年はAAでまずまず投げて評価を上げたが、現在はProspectと呼べるか微妙なライン。長じれば先発下位やロングリリーフになる可能性はあるが、平凡なAAAAプレイヤーで終わる可能性も高い。


Brandon Jacobs, OF (PTBNL)

このトレードを取り上げる気になったのも、彼が含まれていたからなのだが、このブログではお馴染みのBOSの09年ドラ10。HS時代はフットボールのRBとしても鳴らした身体能力の高い選手。11年にLow-Aで爆発して、そのオフには一部のProspectランキングでTop 100にも入るほどの評価を受けていたが、ここ2年はケガもあったりで今一つツールを発揮できていない。パワーは素晴らしく、スピードもしっかりしているが、三振が多く、また肩の弱さでLF向きというところが難点。この12月にRule 5ドラフト対象になるということもあり、BOSは夏のMatt ThorntonのトレードでCWSへ放出していた。


[Player (to LAA)]

Tyler Skaggs, LHP

LAAの09年ドラ1s全体#40指名。09年のドラフトでは、HS-LHPとしてはTyler Matzek (COL)、Matt Purke (WAS)に次ぐレベルの選手だった。10年にDan Harenの見返りとして、ARIへトレード。同時にトレードされたPat Corbinと共に、メキメキ評価を上げ、昨オフはマイナー全体でもトップクラスの投手Prospectとして名前が挙がっていた。今季はやや球速を落とし、期待されたMLB定着はお預け。ドラフト時(Corbinは09年のドラ2)から常に先行していたCorbinに逆転を許す形となっている。速球は昨季までは最速90 mph中盤で、チェンジアップ、カーブ共に、良い時は素晴らしいキレを発揮する。多少制球は粗いが、三振の獲れる投手で、エース級に育つものと見られていたが、現状ではそれは球威の回復次第か。


Hector Santiago, LHP

CWSの06年のドラ30。プエルトリコ出身で、さほど期待度の高い選手ではなかった。マイナーでも先発でほとんどがリリーフでの登板で、目立った成績を残してこなかったが、12年にMLBに昇格すると突如開花。リリーフとしてイニング以上の三振を奪う活躍を見せると、13年は途中から先発に回り、そこでもしっかりとした投球を見せた。投球スタイルとしては、リリーフでは平均93~94 mph、先発でも平均92 mphと左腕としては威力のある速球が売り。これにチェンジアップとスライダーを交える。制球も粗く、やや低めの身長もあり、個人的には13年の先発での成績は出来過ぎに映るが。まだ調停前で、残り保有期間は4年。


[Player (to CWS)]

Adam Eaton, OF

ARIの10年ドラ19。カレッジのシニア時に契約した選手で、ドラフト時の評価は高くなかったが、プロ転向後、メキメキと評価を上げた。高いコンタクト能力が最大の売りで、マイナー各クラスを打ちこなして12年にMLBデビュー。昨オフにはマイナーの全体Top 100にも名前が挙がる選手となっていた。スピードもあり、12年はマイナーで40 SB近く決めているが、MLBでは安定しない出場機会もあり、まだその実力を見せ切れていない。CFを守るレンジはあるが、守備スタッツは良くなかった。ただ守備への勘は悪くないと言われており、経験を積めばしっかりとしたCFになれるかも。RFとしては肩が弱いが、最悪でもそれなりの4th OFにはなれると思う。残り保有期間は5年。


[Team Analysis (ARI)]

昨季Justin UptonをATLへ放出し、打線の小粒化が目立つ。主砲へと成長したGoldsmidtはいるが、他にパワーを発揮できる選手が皆無。13年は、Matt Davidsonあたりが3Bに上がって来ることは予測できるが、実績のあるパワーヒッターが欲しかったのは間違いない。ただTrumboという選択肢はどうなのか?あと3年比較的安く雇えるのは魅力だし、パワーはもちろん十分だが、何と言っても1B以外を守るには守備力が酷く、その一方で、安定したGoldsmidtのプロテクトになるには、アベレージや出塁力でやや物足りない印象を受ける。Goldsmidtと右打ちが並ぶのもピンと来ないし、さらに言えばDavidsonも右打ちで、打線を考えれば左打ちの選手の方が圧倒的にフィットするのだが。

おまけに付いてきた2人の若手は、現状ではちょっとした宝くじレベルで、何かを計算できるような選手ではない。Trumbo1人に対して、SkaggsとEatonは明らかに出し過ぎな印象が強い。傘下には、全体でもトップクラスの投手Prospectへと成長したArchie Bradleyはいるにしても、昨季までは非常に評価の高かったSkaggsをポンと出せるほどには盤石なローテの状態にも見えないのだが。現状で、Trevor Cahill、Brandon McCarthy、Wade Miley、Corbin、Randall Delgadoと5人の選手がいるが、後ろの2人も年間を通した実績もまだ無い。

Skaggsは、13年にAll-Star出場したCorbinに逆転された形で、球威低下も少し不安であるが、既にMLBに辿り着いている若手としては重要な存在だったと思うが。昨年Trevor Bauerをやはり価値が下がったところで出したのも合わせて、"Sell Low"というカンジで良い印象が無い。一方Eatonは、A. J. Pollockと完全に立場、プレースタイルが被っており、パワーが不足しているチームが2人ともロスターに抱えておくのはバランスが悪い。個人的にはEatonの方を買っているのかと思っていたが。CWSがEatonを強く要求したのかな?


[Team Analysis (LAA)]

12年に、TrumboとKendrys Moralesという1B/DHが最適という選手が2人いる中で、Pujolsを獲ったため、Trumboを他のポジションで使うことを余儀なくさせられていた。昨オフにMoralesを放出したが、傘下ではC. J. Cronが育ってきたこともあり、これから調停に入るTrumboがトレードバイトになるのは自然な流れ。Schugelは平凡な若手で、実質Trumbo1人で2人も若い先発候補を釣り上げたのはこの上ない成果。

LAAはHarenのトレードで、CorbinとSkaggsを手放したことをよっぽど後悔していたようで、今回のトレードで取りあえずSkaggsを取り返すことができた。Skaggsの球威低下と、Santiagoの先発での実績という点で不安はあるにせよ、どちらも最低額で雇える選手だし、動きとしては間違ってはいない。ローテはJared Weaver、C. J. Wilsonは良いとして、Garrett Richards、Skaggs、Santiago、Joe Blantonが争う3番手以降は、もう一枚くらい実績のある選手が欲しい気もするが、取りあえず枚数的には埋めた。理想的にはSantiagoはしっかりローテに嵌り、Skaggsはマイナーでスタッフの回復を目指す形になるだろうか。


[Team Analysis (CWS)]

Erik JohnsonやAndre Rienzoに自信を持っているようだけど、わざわざ三角トレードに巻き込まれて、せっかく育った若い先発を放出するのは若干意味不明。CFはAlejandro De Azaがいるし、元ドラ1のTrace Thompsonなどもいるのだが。確かにRFをJose Iglesiasのトレード絡みで、DETから得たAvisail Garciaを使う予定なので、そこそこアップサイドもあるOFがもう一枚いてもいいのかもしれないが。もしくはDe Azaも"Sell High"で、今の内に売ってしまうことも考慮しているのかも。

ただ補強すべきポジションは何と言っても捕手が弱く、3Bも盤石ではない状態。Santiagoの成績低下を懸念して、"Sell High"しようとしたのかもしれないが、まだ4年雇えるSantiagoは最悪リリーフとしても使えるし、それなりにトレード価値があったように思う。まだMLBに適応しきったとは言えないEatonを得るだけに放出するのはオーバーペイだと思うが。Jacobsに関しては、やはりBOSと同じく、Rule 5ドラフトを懸念して、というところなのだろうか?CWSも半年弱見てみたが、プロテクトするほどの活躍は見せられず。指名される可能性は低いと思うが、タダで失う可能性があるならスローインしてしまえということなのかな。

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