[Transaction]
☆ TOR Acquired : RHP Josh Johnson, LHP Mark Buehrle, C John Buck, SS Jose Reyes, UT Emilio Bonifacio, $4M cash
☆ MIA Acquired : RHP Henderson Alvarez, C Jeff Mathis, SS Yunel Escobar, SS Adeiny Hechavarria, RHP Anthony DeSclafani, LHP Justin Nicolino, OF Jake Marisnick
[Player (to TOR)]
☆ Josh Johnson, RHP
FLA時代の02年のドラ4。何度となくファイヤーセールを繰り返してきたFLA/MIAにおいて、数少ない生え抜き。MLB機構から、半ば強制されたような形で、10年に4年$39Mで延長しており、残りは1年13.75M。06年に新人10勝カルテットとしてブレイク後、ややケガが多いキャリアを送っているが、09年以降は少し健康面も安定してきている。
かつては、先発ながら平均で95 mphを叩き出す速球派だったが、11年のケガ後はやや球速を落としている。これに80 mph後半の高速スライダー、80 mph後半のチェンジアップのいずれも球速があり、質が高いと評価されている。以前はあまり緩急に頼らないパワーピッチングスタイルだったが、最近は球速が落ちたこともあるのか、70 mph後半のカーブを投げるようになっている。
☆ Mark Buehrle, LHP
98年のCWSのドラ38。長らくCWSで投手陣のリーダーを務めてきたが、昨オフキャリアで初めてFAとなり、4年$58MでMIAに請われる形で入団。残り3年で、13': $11M、14': $18M、15': $19M。奪三振力という面からエースとは言い難いが、何と言っても01年以降、12年連続で30先発/200 IPを達成しており、やや年俸は高めにしろ、多くのチームにとって高い価値を持つ選手だ。
速球は元々速くないが、やはり少しずつは落としており、現在では平均で85 mph。2シームで良く動き、カッターなどを交えて、優れたコマンドで打たせて取る。70 mph後半のスライダー、70 mph前半のカーブ、70 mph後半のチェンジアップといずれの球種もしっかり駆使することができる。フィールディングにも優れ、ゴールドグラブの常連。
☆ John Buck, C
HOUの98年のドラ7。かつては好守で期待されたProspectで、04年にはCarlos BeltranのトレードでKCへ。KCでキャリアを築き、10年にはTORへ。今回は出戻りとなる。10年オフにドラフトピックを残し、3年$18MでMIAへ。1年$6Mの契約が残る。パワーとまずまずのコンタクト能力があるが、かなりの早打ちで、守備に関しても阻止率等で、元々の評価ほどの働きはできていない。キャリアを通じて、やや弱めのチームでプレーしており、強豪の正捕手としては微妙。控えとしては悪くない一方で、それには明らかに割高。
☆ Jose Reyes, SS
NYMの99年のInt. FA。説明不要のスーパースターだが、近年ケガも増え、その影響を引きずって成績が引き下げられることもあったため、昨オフのFAでは強気の要求に対し、敬遠するチームも多かったが、大盤振る舞いのMIAが6年$106Mを提示。あと5年+オプションの契約が残り、13': $10M、14~17年$22M/y、18年が$22M/$4Mバイアウトオプションとなっている。
29歳になった現在も、40盗塁をできるだけのスピードを保っており、運動能力的にはまだ劣化の兆候は見られないように見えるが、守備指標では08年以降は平均を割るようになっている。ただ経験等を踏まえても、それなりに信頼のおけるSSだとは思う。元々コンタクト能力は高く、安定してAVGを残すし、パワーヒッターではないが、10 HR程度は打てる。現時点ではトータルでまだ十分にハイレベルなSSだと言える。
☆ Emilio Bonifacio, UT
ARIの01年のInt. FA。所謂スピードスタータイプで、ローレベルのProspectと見られていたが、WASを経由して、09年にFLAで開幕3Bに指名されると、パワーはないものの、まずまずの打撃を見せてMLBに定着。12年は初の調停で勝利し$2.2M。FAまであと2年かと思う。12年はOFでの出場が多かったが、基本的には内外野全ポジションを守るUT。12年はややコンタクトが落ち込んだ。CFやM-IFでの守備の評価はさほど高くないし、AVGを戻さないと微妙。
[Player (to MIA)]
☆ Henderson Alvarez, RHP
TORの06年のInt. FA。元々は3Bだったが、入団後に投手転向。平凡なキャリアを送ってきたが、ややアグレッシブな昇格となった、11年のAAでまずまずの成績を残し評価を上げると、21歳にしてMLBに引き上げられ、10 GS/3.53 ERAとまずまずの成績を残した。まだ調停前で、FAまではあと5年かな。
速球は平均で93 mph、最速97 mphと、先発としてはしっかりした球威があるし、シンカーで非常によく沈む。これとチェンジアップで、多くのゴロを打たせるが、スライダーが平凡で、多くの三振を奪えていない。まだ磨くところもあり、MLBのスターターとしては弱いが、TORのローテ事情もあり、12年は上で1年を過ごした。もう少しスライダーが伸びれば、そこそこの4番手から最大で3番手。そうでなければ平凡な5番手というところ。
☆ Jeff Mathis, C
ANA時代の01年のドラ1。貧打で名高い選手で、守備を重視するMike Scioscia監督の元、ファンの不興を買いながらも、使い続けられてきたが、11年のオフにLAAがChris Iannettaを獲得すると、TORへトレード。12年も例年通りの成績だったが、2年$3Mで契約延長した。打てない上に、守備型というにしては、サイバーメトリクス的にはあまり守備スタッツは良くないことで知られており、かつ正捕手J. P. Arencibiaに、Top ProspectのTravis d'Arnaudoがいる状況での延長には疑問の声も大きかった。
☆ Yunel Escobar, SS
キューバ出身だが、亡命を経て、05年のドラ2で、ATLへ入団。07年にMLBに昇格すると、地味ながらも優れたSS守備に加え、コンタクト・パワー・選球眼と、いずれもMLBのSSとしては十分な成績を残し、過小評価気味の好選手として評判だったが、時折全力でのプレーを怠るなど、やや素行に問題を抱えていたこともあり、成績が下がった10年に、Alex Gonzalezとの交換でTORへ放出。
このトレードはTORに評判が良く、11年は成績を戻したこともあり、2年$10Mでの延長はスティールと言われていたが、12年は再び成績下降。またも素行面でも不興を買ったようで、今回の放出となった。13': $5M、14、15年が各$5Mのオプション。30歳になるが、未だに守備は素晴らしく、性格面に目をつぶれば、まだ攻守に十分なレベルのSSだが、成績もモチベーション影響されるところが大きいのか、やや扱いづらい選手ではある。
☆ Adeiny Hechavarria, SS
キューバから亡命し、10年に4年$10MのMLB契約で、TORに入団。同時期に亡命した、BOSのJ. Iglesiasとよく比較される選手だが、キューバのナショナルチームでは、Iglesiasを他のポジションに追いやってSSを務めていたほど。現在の評価ではIglesiasほどではないにしろ、高い守備能力を持つし、オフェンス面では元々Iglesiasより上限が高いと評価されていた。
ただTOR入団後は、前評判ほどオフェンスが伸びておらず、ここ2年はAAAでよく打っているが、PCLというファクターが大きく、MLBレベルではまだ適応できないと見られている。Iglesias同様、最低限打てれば、守備のアドバンテージでMLBのSSとしてやっていけるようになると思われているものの、そのレベルに達するかはまだ疑問もある。
☆ Anthony DeSclafani, RHP
11年のTORのドラ6。New Jersey州出身で、08年にはBOSがドラ22で指名している。ドラフト前から指名の噂があったが、Florida大進学を諦めさせることはできなかった。90 mph中盤の速球が武器だが、変化球の評価はさほど高くない。TORでは先発で使われているが、カレッジ時代からリリーフで、将来的にはそちらに移ると見られる。最大限育てばセットアップの可能性。
☆ Justin Nicolino, LHP
10年のTORのドラ2。11年にブレイク後、12年もLow-Aで順調に成長している。Noah Syndergaard、Aaron Sanchezと共に、傘下の投手ProspectでTop 3と見られており、球威やフィジカル的に、前2人ほどのCeilingはないが、コマンド・セカンドピッチに優れ、最もHigh Floorな選手とされている。速球派ではないにしろ、94 mph程度までは出るし、しっかり育てはローテ3番手、最低でも5番手にはなれると見られている。
☆ Jake Marisnick, OF
09年のTORのドラ3。素晴らしいアスリートで、全てのツールに優れた5ツールタイプ。11年にブレイクし、Minor全体でもトップクラスの5ツールCFと見られるようになった。まだ粗削りで、早打ち気味だが、守備の評価は非常に高い。12年はHigh-Aでぼちぼちという成績のあと、AAでは明らかにコンタクトに苦しんだが、そのツール面からさほど評価を下げてはいない。最大限育てばAll-Star CFになれるだろうが、磨ききられておらず、多少リスクは高め。
[Team Analysis (TOR)]
ずっとドラフトピックの掻き集めに奔走していたが、ここで大きく舵を切ってきた。12年はBALが躍進を遂げるなど、AL-Eastの勢力図に変化があり、NYYの12年POでの失速、BOSは半再建期、TB、BALにしても盤石ではないことから、ここが勝負と見たか。投手、捕手、SSというところで、まだ比較的安い、若めの選手を出し、ややコストのかかる同ポジションの選手を得て、各ポジションのアップグレードに成功した。
特に、ローテではRicky Romero、Brandon Morrowが不振やケガで、計算できる選手が1枚もいなかったことから、かなりの補強効果が期待できる。Johnsonは、現在28歳と、それなりに若いが、ケガの影響もあり、やや球威が落ちているのは気にかかるが、球威が戻る可能性もあるし、そうでなくても現状で、最低限優れた3番手クラスの働きは期待できる。Buehrleは、安定した働きができる先発3番手だし、メンターとして若い投手陣にとって良い影響があるだろう。
捕手に関しては、当初このトレードにJ. P. Arencibiaが含まれるという噂が出たが、結局はMathisとBuckの交換となっている。BuckはTORでは控えとなるだろう。控えとしては、相当割高だが、Mathisよりは多少アップグレードだろうし、控えが正捕手経験が豊富なBuckにリプレースされたことで、MLB経験のないd'Arnaudoを起用しやすくなり、Arencibiaで、もう一歩先発投手のトレードに動くのではないかと思う。もう一段そちらで動けるなら、このトレードがより良いものになると思う。
Reyesに関しては、前任のEscobarも優れたSSだけに、アップグレードの幅はあまり大きくはないようには思えるが、BOSからMike Avileを一旦獲得するなど、元々今オフにEscobarを出すという噂が強く、彼の扱いに困っていたのなら、同等以上の選手に置換できた意味は大きい。守備面ではダウングレードかもしれないが、オフェンス・スピード面で、わずかにプラスではないかと思う。もちろんコストと言う面ではかなり負担増にはなってしまうが。Hechavarriaも期待されてはいたが、Reyesを獲った以上ブロックされた。
Bonifacioは現時点ではどう使うのかわからないし、特にIF控えとして、Maicer Izturisを3年$9Mとややオーバーペイで契約したため、役割的に被ってしまう印象だが、BonifacioはOF控えとしてカウントしても良いし、Kelly JohnsonがFAで現在2Bが空いているので、最悪の場合にBonifacioとIzturisをここで併用というプランも考えているのかもしれない。ただReyesがSSを固めるし、こう動くのであれば、Izturisはやや蛇足感が強いが。
失ったものは、MLBの選手としては、同ポジションで力の劣る選手ということで、余り問題とはならないし、Prospectの方でも、DeSclafaniはリリーフが上限で、Marcus Stroman、John Stilsonとより上位のProspectがいるので問題ない。傘下の投手層は豊富とは言え、Nicolinoは完成度が高めで、他の選手とは替え難い価値があるが、Johnsonを得るのであれば仕方ないところか。Marsnickは、同じCFでColby Rasmusがいる上に、Anthony Goseが先行しているということで受け入れたか。Rasmusも伸び悩んでいるし、打撃面ではMarisnickの方がGoseよりもHigh Ceilingなため、育たれると大きな損失となるが。
現時点での印象は悪くないが、NicolinoとMarsnickの支出は小さくないし、Buehrle、Reyesの高額年俸が加わったことで、将来的にはマイナス面もある。しかしそれも、13年にPOを目指すための代償と思うしかない。特にJohnsonが13年シーズン限りということで、13年にPOに出られなければ、一気にトレードの評価は悪化する。Reyesの残り5年は、14年以降支払いが激増することもあり、非常に重いし、Buehrleも健康面の不安がないとは言え、特に最後の1、2年は費用に見合った効果を得ることは困難だろう。
[Team Analysis (MIA)]
年俸が上がってきたと思えば、ファイヤーセールを繰り返してきたチームで、昨年大盤振る舞いしたかと思ったら、またも解体。12年のシーズン中にAnibal Sanchez、Hanley Ramirezを出し、オフに入ってHeath Bellの放出に続き、この大型トレード。まだ戦えるように見える段階で、ちゃっちゃと店じまいを始めるのは、潔いのかお金をケチってるのか。
トレードとしては、BOSのブロックバスターと同様、高額契約の初期化目的。残り1年ではあるが、もっと大きな見返りを得られるはずのJohnsonを出してまで、将来的に不良債権になるリスクがある選手を整理してきた。Nicolino、Marisnickは大きな価値があるが、Johnson、Buehrlie、Reyesの3人はいずれも成績的にはしっかりしており、見返りとして控えめに見える。
とは言え、13年を再び再建期とするなら、残り1年のJohnsonはチームにフィットしないし、Reyesの後釜のSSに、さほど力の変わらず、15年まで安めで雇えるEscobarを加えたのは大きい。捕手も再建期なら、若いRob Brantlyにできるだけ機会を与えたいだろうし、Buckは残り1年で安くもなかった。
ReyesやBuehrlieの契約はリセットできたが、2枚のしっかりした投手を出した割には、投手のリターンがやや弱い。この動き自体は正しい方向に思うが、それよりも昨オフのReyesとBuehrlieへのオーバーペイがやはりイマイチな判断だったと言わざるを得ない。
2 件のコメント:
Jaysとしては渋ちんのロジャースが金を出すようになったというのが大きいです。昨年オフもDarvish獲るとかいって結局入札は17Mしかだしていなかったりでやる気は全くありませんでしたからね。ReyesやBuehrleの契約の終盤はどう見ても費用対効果が悪いとは思いますが、戦力アップになったのは確実で、大きな前進だと思います。
Nicolino、Marisnickの支出は痛かったですが、d'Arnaud、Syndergaard,Sanchezらをブロックできたので、最低限そこで守れたのは及第点かなと。投手と外野手に関してはまだ余裕があるのでそこまでダメージにもならないと思います。
MIAはBostonにはBogaertsやMiddlebrooksを要求したそうですね。まあそれを考えると、NicolinoとMarisnickで妥協させたのはまだよかったのかと思います。
jacさん
13年はBOSはTORの躍進を眺める役になりそうです...。これまでは、B. J. Ryan以降、大物FAとの契約がなかったですし、本気になったように見えますね。
Buehrlieはさすがに$20M近い働きができるとは思えないですが、他のローテの顔ぶれから、相当大きい補強ですね。
ウチはBuehrlieを引き受けようとしてなかったっぽいので、その分高めに要求されたのかも。個人的には、Lackeyがどうにかできるなら、ReyesよりもBuehrlieが良いんですが。
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