少し遅れがちですが、トレードやFA契約の方も動き始めていますので、今後はBOSの動きを追ってみたいと思います。以前に書いたものが長くなってきたんで、分割することにしました。Part1はこちら。
*赤字は確定した契約およびロスターの動きです。
◯ SS Julio Lugo -Trade Out ?-
08シーズン成績:82G/261AB/AVG.268/OBP.355/SLG.330/1HR/22RBI/12SB
Lugoは打てない守れないで、ドラフト指名権と4年の高額契約がホントにばからしくなるほど完全に不良債権と化しています。そこそこ打てて選球眼が素晴らしく、守備でもよくやっているLowrieが台頭し、出したいの選手No.1ですが、引き取り手があるかどうかが最大の問題点。
個人的にはSS Chin-Lung Huなどと争わせられるLADが引き取ってくれると嬉しいなと。若しくはSSの不足が深刻なBALか...
一応今オフも需要の高いSSということでいくつかのチームから興味を持たれている様子(まぁ年棒負担が前提でしょうが)。中でもDETとはLHP Dontrelle WillisかLHP Nate Robertsonとの交換という具体的な話が。簡単に言えば不良債権同士の交換ですね。最近はさっぱりとは言え価値的には20勝を挙げたこともあるWillisの方が上かとは思いますが、DETがサラリーダンプをしたいのでBOSが多少年棒を多めに持つなら1対1になるみたいです。
ただ、いくらSPのデプスになる可能性があるとは言え、最近のWillisではあんまし期待できそうにないですし、どうなのかなぁと。もちろんいくらLugoを出したくてもRobertsonなんか論外です。
◯ LF Matt Holiday (COL) -Trade in ?-
08シーズン成績:139G/539AB/AVG.321/OBP.409/SLG.538/25HR/88RBI/28SB
こちらはすでにOAKへの移籍が決まっていますので、そういう話があったということで。
打者天国Coors Fieldの恩恵を受けている打者ではありますが、それを差し引いても高い打力を持った打者です。FAまで1年のLFで、BOSには同じくFAまで1年のBayがいますが、真の中軸としてはやや弱いことや、思ったより守備が良くなかったことなどから、4番候補としてHolidayを狙っていたようです。
この2人はRFやCFを守る守備力はなく、Bayを同時に出す必要があり、またBuchholzをはじめ要求が大きくなるため本腰を入れてはおらず、その後OAKへ移籍。ただOAKが優勝を狙える戦力としては弱いという意見が多く、フラッグディールでまた名前が挙がってくるかもしれません。
→OAKへ移籍が決定済
◯ SS Khalil Greene (SD) -Trade in ?-
08シーズン成績:105G/389AB/AVG.213/OBP.260/SLG.339/10HR/35RBI/5SB
SDが来季を捨てシーズンにすることが決まっており、サラリーダンプとマイナーの補充の為に出すと言われている選手。SSとしてなかなかの守備力があり、Petco Parkを大の苦手としているためAVG が良くありませんが、07シーズンに27発を放ったように長打力はあり、本拠地を離れるとSSとしてはまずまず打てる打者と言われます。振り回す傾向が強く出塁は期待できない。
今季は不調だったことも放出の可能性を強めています。このトレードの噂からLowrieの放出の可能性を考えているのかという声が上がりましたが、個人的にはどちらかというとLowrieをある程度3Bで使う可能性を見ているのかなと。UTはCoraがFAでそのCoraを連れ戻す可能性も示唆されますが、彼は打撃の選手ではない。3BはLowellのケガが不安視されていますし、1Bを取ってYouksを回すにしても結局バックアップはLowrieでという可能性が強い。
Greeneは守備要員としても優秀だし、Petcoを離れてある程度打てる可能性が高い。2年目のLowrieが不振に陥ったときの保険にもなりますし、基本的にはいい選択だとは思います。ただ、打撃を本当に戻せるかはよくわからないし、そうでなかったときUTとしては高くなってしまうのは懸念されます。1B & 3Bの状況にも強く依存しそうですね。
→その後STLへ移籍が決定
◯ 1B Mark Teixeira -FA in ?-
08シーズン成績@ATL:103G/381AB/AVG.283/OPB.390/SLG.512/20HR/78RBI/0SB
08シーズン成績@LAA:54G/193AB/AVG.358/OPB.449/SLG.632/13HR/43RBI/2SB
今オフのFA市場で屈指の大物。かつてはTEXで本拠に少し助けられている打者と言われていましたが、ATL, LAAでも素晴らしい成績を残しています。コンタクト、選球眼、長打力のいずれも素晴らしく、1B守備も高い評価を受けます。
どうやらNYYが参戦しないようで、多少はマネーゲームを避けれるかもしれませんが、それでも資金豊富なLAAとの争奪でScott Barasクライアントでもあるし、とんでもない額の契約が必要となります。BOSとしてはLowellのケガが不安で、Papiも今季苦しんだことから、Youksを3Bに移して、主軸打者として彼を迎えるという意図です。
通常なら、もちろん失敗のリスクはあってもこのレベルの選手であれば取りにいくべきだと思いますが、Lowellの放出がやや難しいことと、傘下最大のProspect Lars Andersonとポジションが被ってしまうのが、難しい。将来的にはどちらかをDHに回すのもなくはないですが、Larsも1Bとしては守備は悪くなく少しもったいない。
取りたいという側では、絶対の軸になれる打者であり、LarsのことはLowell, Youks, Papiらの状況次第で考えれば良いというもので、逆はLarsは再来季には使えるようになりそうで、PapiやLowellがこれだけケガに悩まされた今季を考えれば、Teixeiraがいなくとも来季1年は戦えるというようなカンジで、現時点ではどちらの意見にも納得できる部分はあると思います。
個人的には、そこまで緊急というほどラインナップに穴があるわけでもないし、Teixeiraほどの選手は得られないかもしれませんが、動くのは後でもできるのでは?とも思いますが。
→その後NYYとの契約が決定
◯ 1B Sean Casey -Re-sign ?-
08シーズン成績:69G/199AB/AVG.322/OBP.381/SLG.392/0HR/17RBI/1SB
今季BOSの1B控えを務めた左打ちの好打者。元々パワーはそこまででもなく、年齢と共にさらにパワーを落としているが、コンタクトと選球眼は未だにそこそこあり、右打ちのYouksの控えとしてフィットする存在ではあったが、前半戦はしっかり働いたのに対し、後半は出番もあまりなかった。
TypeCのFAになりましたが、本人は割とBOSを気に入っているようで、BOS側も控えの1Bとして今季も検討している様子。Teixeiraが来るならあまり左打ちというニーズもなくなるし、来ないなら来ないでもう少し強い選手が欲しいのはあって、さらに言えばOFにBaldelliを取るなら故障リスク考えて今季のKotsayのような外野両翼を兼ねれるような選手の方がフィットはするとは思います。いずれにせよBailey, Carterら傘下にも候補はいるんで、先にレギュラー1B & 3Bを決めてからの動きになる気はします(マイナー契約とかならあるかもしれないけど)。
→その後引退が決定
◯ RHSP A. J. Barnett -FA in ?-
08シーズン成績:35G/221.1IP/W18/L10/SV0/ERA4.07/231K/86BB
TORからプレイヤーオプションでFAになった、今季のAL奪三振王。ケガが多いのが難点だが安定して90 mph台を出せるパワーピッチャー。かつて104 mphを出したことでも有名です。
スターターを1枚加えてアップグレードというのはずっと言われてきたことですが、Sabathia, Barnett, Peavy, Sheets, Loweといった有力候補の内、第1候補はBarnettに絞ったようです(その次がLowe)。
→その後、NYYとの契約が決定
◯ CF Coco Crisp -Trade out to KC-
08シーズン成績:118G/361AB/AVG.283/OBP.344/SLG.407/7HR/41RBI/20SB
Crispは守備は特に昨年はゴールドクラブとってもおかしくなかった言われるくらい素晴らしいし、走塁はもちろん今季は打撃もそこそこがんばりました。Jacobyが完全には独り立ちしていない現状もあり、4th OFとして残すというのも悪くないですが、将来を見据えて来季もJacobyをレギュラーとして使うと思いますし、そうである限り放出の噂は絶えないでしょう(本人も当然レギュラーとしてプレーしたいでしょうし)。
今季のCFのFA市場はKotsayあたりが上位に来るほどであまり良くないため、結構多く(10チーム程度?)のチームから引き合いが来ている様子です。ある程度の候補はいるというチームも多いですが、OAK(Carlos Gonzaresを放出)、CWS(Nick Swisherを放出)、NYY、HOU、SDなんかはCFの補強を考えるかもしれません。
ただどうしても、というチームはそう多くなく、打撃がそれほどでもないCocoにTop Prospectの代償を払うかは疑問も。BOSはマイナーの分厚いチームで、SP, C, 1B, LFあたりにはすでにAAAクラスで成績を残している選手を多く抱えているし、2B&SS, CFはレギュラーがまだ若い。3BはYouks, Lowrieがいる、と考えていくと、微妙なレベルの若手をデプスとして代償として得る意味はほとんどありません。
そう考えると控え選手を得る際のトレードで消費していくのが最もありそうか?実際SDのSS Khalil Greeneとの噂なども出ました(後日この2人がトレードという話ではなかったことが判明)。4th OFにはRocco Baldelli, UTにはCoraなどFAでの補強が噂されますが、こちらがうまくいかなければ、Cocoを使って控えを得ていくかもしれません。
☆ 11/19追記(トレードが決まったので上から移動)
KCへCocoを出し、代わりにRHRP Ramon Ramirezを受け取る1対1トレードが決定しました。今季はJacobyにレギュラーを奪われてのシーズンになりましたが、守備や走塁、そして後半戦からPOでの打撃でとてもチームに貢献してくれた選手ですし、新天地でもがんばって欲しいです。
これはやはり本人の希望と、4th OFには右打ちのRF(/CF)が欲しいというBOSの思惑の結果でしょうね。多少、重なっているAAAあたりから1枚付けてもう少し上のレベルを狙いたかったという気持ちもありますが、上記の予想通り(と言っても野手の控えではなくブルペンでしたが)層を厚くするためのトレードに使ってきたというカンジですし、納得できるトレードでしょうね。
◯ RHRP Ramon Ramirez -Trade in from KC-
08シーズン成績:71G/71.2IP/W3/L2/SV1/ERA2.64/70K/31BB
上記のCrispとの交換トレードで獲得したブルペン右腕です。07シーズンはCOLで散々だったものの、今季はKCでよく投げており、後半はセットアップに定着しました。ファストボールは90-95 mphが多く、それに80 mph後半のスライダーとチェンジアップを混ぜるようです。
今季のパフォーマンスを継続できるのならミドル〜セットアップの層をしっかり足せたということで、ある程度Cocoを出した見返りを得たことになりますが、そうでなければしっかりとしたCFを出したのは少し出しすぎということにもなります。TimlinやAardsmaに比べてアップグレードになる可能性は高いと思いますが、まずはミドルあたりで期待か。
◯ 40-man Roster Move
Rule5 Draftを控えて、LHRP Hunter Jones (AAA), C Mark Wagner (AA), LHSP Felix Doubront (Hi-A)の3人を40-man Rosterへ加えました。これで40-man Rosterは37人が埋まっています(こちら参照)。これからさらにスターター、リリーバー、正捕手、控え1B or 3B、控えIF、控えOFに1人ずつくらいは取ってくる可能性が高いです。
JonesはAAAでも実績を残しているRPで、対左の成績は良くないものの、一応左腕ですしプロテクトは当然。
Wagnerは元々守備型ですがAAでも打撃で苦しんでおり、まだMLBレベルには達していないものの、AFLでよく打ったこともあり、レギュラーの強いチームが控えで取る可能性があったのでここもプロテクトするしかない。
DoubrontはMLBにはまだまだだがやはり左腕でそこそこの可能性を持っているので取られるのを恐れたということでしょう。
◯ Rule5 Draft
12/11はRule5 Draftです。これは飼い殺しを防ぐ規定の一つで、Minor経験が4年(20歳未満で契約した選手は5年)以上ある選手の内、40人ロスター外の選手をWaiver順にピックできるというものです。ただ、単純に奪って終わりではなく、1シーズン通して25人ロスターに置かなければ、保有権は完全に移らず、25人ロスターから外した時点で返却されてしまいますので、以外とキビしいやり繰りを必要とするMLBでは簡単には行きません。それでもJohan Santanaや昨季のJosh Hamiltonのような例もありますから、重要と言えば重要。
Rule5 Draft 対象者リスト
Pitchers: Jose Capellan, Robert Coello, Andrew Dobies, Kyle Fernandez, Beau Vaughan, Armand Zerpa, Felipe Garcia, Javier Garcia, Matt Goodson, Joseph Guerra, Tomy Hottovy, T. J. Large, Will Latimer, Chris Jones, Blake Maxwell, Jorge Rodriguez, Jose Vaquedano, Mike James, Jimmy James
Catchers: Juan Apodaca, John Otness, Rafael Gil
Infielders: Jeff Natale, Zak Farks, Iggy Suarez, Luis Segovia
Outfielders: Bubba Bell, Jeff Corsaletti, Sean Danielson, Roberto Feliz, Mickey Hall, Jay Johnson, Bryan Pritz, Yahmed Yema
40-man Rosterに入らなかった選手はRule5 Draftで奪われる可能性あり。使ってみてダメだったら返せばいいだけなので、何人かはロスターに空きのあるチームに取りあえずピックされることはあるかもしれません。
昨年指名された左腕Capellanは今季ももしかしたらあるかも。未完成だが球威はある。VaughanはそこそこのRPの可能性を持ち、現時点では多少弱いが、ある程度MLBに近いところにいるのでピックされるかもしれない。右のRPのデプスとして残したい選手ではあるけれど。
Nataleは今季ケガで成績を残せなかったし、守備が悪いので取りにくいでしょう。
BellはAAA経験がないし、CFのデプスとしてはAAAで良く打ったVan Everyがいるのでプロテクトしなかったようです。AAまででかなり打っており、守備もしっかりしているので有力な候補。いれば有用だろうと思いますが、奪われてしまう可能性は結構高そう。
Corsalettiは4th OFとして悪くない選手になるかもしれないが、守備がさほどでもなく、AAAで苦しんだのでピックされないと思います。
☆ 12/18追記
Rule5ドラフトが行われ、その結果BOSからは誰も奪われずに済みました。とりあえず、取られるよりは取られない方が良かったので。しかしWagnerやDoubrontといった、来季あまり使える可能性のない選手を40人ロスターに入れたせいで、C最低1枚、UT1枚、OF1枚は加える必要のある現状でも40人枠一杯に使っており、何人かはWaiverにかけられることになりそうですね。逆に獲得側ではMLBフェイズでLAA傘下のRHP Miguel Gonzalezをピック。またAAAフェイズでCWSからRHP Jason RiceとSEAからRHP Miguel Marquezをピックしています。
◯ Minor League FA
Pitchers: RHP Kyle Snyder, RHP Chris Smith, LHP Daniel Haigwood, RHP Edgar Martinez, RHP Lincoln Holdzkom, RHP Craig Molddrem, RHP Marcus McBeth, RHP Eric Hull, RHP Miguel Asencio, LHP Lee Gronkiewicz, RHP Dave Gassner, RHP Michael Tejera, LHP Jon Switzer
Fielders: 2B Tony Granadillo, 2B/OF Joe Thurston, SS Josh Wilson, SS Gil Velazquez, 1B Sandy Madera, 2B Zach Penprase, 3B Keith Ginter, 3B Mannuel Arambarris, OF Jason Lane
BOSへ直接大きく関わるほどでもないですがMinorからもFAで何人か抜けています(すぐに再契約した選手は除く)。何人かは少し気になります。もちろんこれから再契約する可能性もなくはないです。
SnyderはしばらくモップアップとしてBOSで投げていて重宝する存在でしたが、今季は少しケガもあって調子を崩しDFA。Minorへのアサインを受け入れましたが、シーズン終了と共にFAに。Minor契約でもう一度捕まえてもいいかもしれませんね。
SmithはMLBでも何度か投げましたがロスター枠の関係でDFA。Minor送りを拒否してFAになりました。MLB契約をしてくれるチームはないと思うし帰ってきてくれるといいんですが。
Haigwoodは今季AAでしっかり投げたリリーフ左腕。できれば契約したいですが、ある程度引く手もあるでしょう。
Martinezは取り立てて優れた能力はないですが、AAAで先発、リリーフと便利屋的に使われてました。このぐらいの選手はたくさんいると言えばそうですが、デプスとしては悪くないかも。
Granadilloはパワーのある2B。守備があまり良くない。もともとMLFAで捕まえた選手でそこそこ控えレベルの期待はありましたが、今季はケガもあって低迷。AAAはIFが結構抜けるのでいても悪くないとは思います。
Thurstonは色んなポジションを守れるUT。そこそこ面白い存在ではあります。
◯ RHRP Wes Littleton -Trade in from TEX-
08シーズン成績:12G/18.0IP/W0/L0/SV0/ERA6.00/14K/8BB
TEXがWaiverにかけたRPですが、BOSのWaiver順まで残っていないと読んだのか、見返りにPTBNL(後日指名選手)を支払ってトレードで獲得しました。昨年のAardsmaに似たカンジでの獲得となりましたが、元々の資質はAardsmaの方が評価は高かったです。
06年のデビューイヤーはまずまず投げた選手ですが、その後2年は低迷。アームスロットが低く、87-90 mphぐらいのシンカーにスラーブとチェンジアップを投げるそうですが、チェンジアップがまずまずなので、この手の投手としては対左もひどくはないです。BOSとしてはWakeのケガなどもあって、やや先発の不確定要素が大きくなっているので、Mastersonをしばらく先発に回せるように(Buchholzが独り立ちするまで?)ブルペンのデプスを加えたのかなと思います。
ただ見返りが元々PTBNL2名と言われていて、これは響かないレベルの若手だと思われていたのですが、AAAのRHRP Beau Vaughanになってしまったのは誤算。比較的年齢が高いですが、今季はAAで55K/46.2IP、AAAで14K/11.1IP、AFLで18K/1BB/15.1IPとMLBに近い若手リリーバーの中では三振が取れる投手であり、BOSファンの間ではかなり評価の高かった選手だっただけに少し残念です。とは言え、Vaughanは来季頭から使えるほど完成されてはいないし、RHRPではBard、Lentzと驚異的な奪三振率を誇る速球派2人がAAまで来てはいるので、獲得したLittletonが投手陣の陣容が固まるまでの期間、ある程度投げてヘルプとなってくれるのであればなんとか我慢できるトレードだと思います。
◯ Arbitration
FA権を持つ選手や複数年契約ではない選手で調停権を持つ選手とは、来季の契約を結ぶ上でのサラリーの調停申請があります。
FA権を持つ選手へは12/1に調停の申し込みを行いますが、Type CのFAに関してはドラフト指名権の譲渡・付与に影響しないため、ここではほとんどは調停申し入れを行わないことが多いです(逆にType A or BのFAには申し入れをしておかないとドラフトピックがもらえません)。
BOSはType A FAのTekとType BのByrdに調停の申し入れを行いました。Tekに関してはCの代役がいない上に、年齢的に長期契約はオファーしづらく、受けられても多少割高になる可能性があるとは言え、1年間捕まえられるのだから問題ないため、申し入れは妥当。
Byrdに関しては受けられると非常に割高になるため、申し入れにはやや危険があると思われていましたが、調停を拒否すると読んでオファーしました。NYYなんかが受けられる可能性を恐れて全くオファーしなかったのに比べ、多少危険を冒してでも貪欲に若手確保の機会を増やそうとしています。Wakeの故障もあって、ややSPが手薄な状況を考えれば、申し入れは妥当かなと。
☆ 12/7追記
調停申し入れを受けた選手は、調停を受け入れるかどうかを決めますが、2人とも予想通り受け入れを拒否、FA市場に出ることになりました。
Byrdの方は一安心。移籍先が全くない投手とは考え辛いので、サプリメンタルピックが一つ手に入りそうです。
Tekに関しては、これでどこかに取られる可能性が出て来た訳ですが、Type Aでドラフトピックの譲渡があるため、それほど人気が出そうには見えませんし、BOSのオファー次第で帰ってくる可能性は多分にありそうです。
◯ C Kevin Cash -Non-tender-
08シーズン成績:61G/142AB/AVG.225/OBP.309/SLG.338/3HR/15RBI/0SB
予想通りではありますが、さっぱり打てず。WakeのOptionは行使されましたが、肩の状態が悪いらしく引退の可能性があります。また例えWakeが残ったとしても、CashよりはKottarasかBrownを選ぶと思います。デプスとしてAAA送りになるのではないかと予想されますがMLFAになる可能性も。
☆ 12/12追記(Non-tenderが決まったので上から移動)
TenderとはFAの資格を持たない、MLB3年目(2年目でも成績如何ではスーパー2と言って、調停権を取得することもある)以降の調停権を持つ選手への調停するかしないかのオファーをすることです。大抵の選手とは調停するか、調停を回避して1年契約をするのですが、ある程度コストがかかる調停選手で、その価値がないと思われる選手はNon-tenderと言って、調停せずに保有権を放棄することができます。Non-tenderされた選手はFA扱いとなります。
BOSは噂通りCのCashをNon-tender。Wakeの状態が微妙な今、控えとして全く打てないCashを調停までして抱えておく意味は薄いと見られており、妥当な動きだと思います。Wake専属ははどうしても必要ならば、より若いKottarasを使えばいいですし。一応保険としてMinor契約で捕まえれるならいいかなとは思いますが。
◯ RHRP Miguel Gonzalez -Rule5 Draft from LAA-
08シーズン成績@Mexican Winter League:11G/41.1IP/W4/L1/SV0/ERA1.52/36K/9BB
来季開幕時で24歳の右腕。今季は膝のケガでシーズンを棒に振ったものの、メキシコのウィンターリーグで印象的な活躍をしています。
90 mph前半のファストボールにスライダーとチェンジアップを持ち、コマンドが素晴らしいという評価。ブルペンの1カードを争わせるには悪くないと思います。ブルペン行きで球速が増せば面白いかも。
Rule5ではいい左腕が残っていれば、Lopezと争わせるのが面白かったと思うんですが、Waiver順が低いBOSではそういったカードは残っていませんでした。ブルペンではPapelbon、岡島、Ramirez、Delcarmen、Lopezの5枚が確定で、あと2枚の席がありますが、その内1枚は先発次第でMastersonが埋める可能性がある。1〜2枚をPauley、Littleton、Hansack、Aardsmaなんかで争えるので、左腕ならあと1枚争奪戦に加えるかもしれませんが、ブルペンの候補者は大体出揃ったか。
◯ RHSP Junichi Tazawa -Int. FA in-
Int. FAの注目株 田澤純一を契約金$1.8M、09年$0.45M、10年$0.50M、11年$0.55Mの3年、MLB契約で獲得。色々と注目を集めた選手で、条件面ではTEXとかATLの方がよっぽど良かったようですが、最初から本人の希望があったようで、噂よりは安めで得ることに成功しました。
40人ロスターには当然入っていますが、AAあたりから始めるようです。自己最速は96 mphですが、通常は88-93 mph程度。日本人らしくスライダー、カーブ、シュート、フォーク、チェンジアップと色々レパートリーはあるが、比較的カーブの評価が高め。シュートはMLBだと逆方向のカッターだし、フォークはチェンジアップの一種に捉えられることが多いので、ツーシームあたりを覚えつつ、ファストボールとカーブを磨けば、MLBでやっていくだけのものは持っているとは思います。制球の評価が非常に高いが、日本での成績はNPBでのものですらないですし、このレベルでは球威があったという点も大きかったと思いますし、低めに集めるのも上手くはないようなので、この辺は不安もあるかも。
BOSではNo.6~10あたりのProspectと見る人が多いようですが、やってきたリーグのレベルを考えても個人的な印象としてはWeilandより少し下のNo.12~15あたりでもおかしくはないと思います。とは言え日本人としては球威のある選手ですし、伸びて欲しいですね。ちなみにチームメイトになる可能性があったTerumasa Matsuoはリリースされてしましました。
☆ 1/28追記
日本でほぼ唯一のMLB専門雑誌のSluger誌にて田澤のスカウティングレポートが出ていたので、紹介しておきます。球種やコマンドに関してと、あとはフォームなどについて。評価は8点満点で( )内は将来の予想値です。
ファストボールの評価は5(6)でファストボールのコマンドは5(5)。91-94 mphでフラットな球筋ですが、手元で伸びる4シーム。上体を起こして投げ、初動は緩やかですが、その後のモーションが素早いため打者を欺ける。スポットに投げ分けるのが上手い。
カーブは5(6)でコマンドが5(5)。73-79 mphで75 mph以下のときの方がメカニクス・コマンドともに安定しており、ゆるやかに大きくストライクゾーンに落ちてくる。となっていますが、球速が高めのものというのはスライダーのことかなと思います。
スプリッターは4(5)でコマンドが4(5)。80-84 mphで球速があって手元で落ちるが、球速を出そうと投げ急ぐ傾向があり、アマチュアレベルでも見逃されることが多い。現時点では良いボールではないが、コマンドが安定すれば武器になるだろう。
コマンド全般は4(5)。打者がいないときはいいですが、打者がいるとコマンドが安定しない。上体を起こして投げるフォームはギクシャクしている。そのフォームから現状ではMLBではセットアップになると思われる。
というカンジでした。若くて先発の可能性があるから、Prospectとしてのランクは高くついていますが、コマンドを良くする(日本では四球は少なかったけど、MLBでやっていくには現状のコマンドではキビしいということ)か、ファストボールにもう少しムーブを与えないとそこには到達しそうにないカンジがします。カーブはいいんで、スプリッターを打者に追わせられるようにしていく必要もあると思います。
◯ C Josh Bard -FA in-
08シーズン成績:57G/178AB/AVG.202/OBP.279/SLG.270/1HR/16RBI/0SB
SDからリリースされていたCのJosh Bardと$1.6Mで契約です。Major契約ですが、被保障の契約で、開幕の45日前なら年棒の1/6、30日前なら1/4を払ってリリースすることができます。
以前、CLEからCrispを得た際にBOSへ交換要員の一人としてやってきたのですが、Wake専属の控えCというポジションに適応できず、SDから Doug Mirabeliを取り戻す際の交換要員になりました(ちなみにGMのEpsteinさんはこのときに同時にRHRP Cla Meledithを出したことをとても悔やんでいます)。
本拠をPetco ParkとするSDで06, 07と印象的な打撃をした選手で、パワーはそこそこですが、選球眼とコンタクトに優れたスイッチヒッターということで打撃に魅力のあるCです。一方で捕球はナックルをこぼしまくったとは言えそこそこ評価はされるものの、肩があまりよくないです。SDの投手陣に技巧派が多いことなども多少足を引っ張ったとは言え、控えCに向いたタイプでないとは言えます。
現状ではWakeのパートナーとしてもう一度試すなんて言われているように、控えCの有力候補ですが、非保障の契約ですし、C関連は不確定要素が大きいので立場がこれから変わってきそうです。陳郡の袁惨さんが指摘しておられましたが、ある程度正捕手を得る際に足元を見られないための獲得という意味もあると思います。
本当に誰も取れなければ正捕手になる可能性もなくはないですが、ケガもあったし、さすがにこれでは厳しいと思います。予想としてはWakeを受けれるようになれば控えCになりそう。正捕手の方にWakeを受けさせることは恐らくなさそうなので、受けれない場合はリリースされて、Kottarasを引き上げるでしょう(Wakeが開幕から投げれないときは状況が複雑になりますがどうでしょうね)。
◯ RHSP Brad Penny -FA in-
08シーズン成績:19G/94.2IP/W6/L9/SV0/ERA6.27/51K/42BB
最速97 mphのファストボールにカーブ、スプリッターなどを持つ速球派で、06, 07シーズンはLADでエース級の働きをしたものの、今季は肩を痛めて微妙な成績に終わり、実質$6.75Mのオプションを破棄されてFAになりました。最低限の枚数はすでに揃ってはいるものの、Wake、Buchholz、Masterson、Bowdenなど少し不確定要素があったSPにもう1枚欲しかったBOSが1年$5M+160IPで$3Mのインセンティブで契約。ローテはほぼ確定となります(Beckett、Lester、松坂、Penny、Wake)。
健康で昨季までの成績を残せるならオプション行使は間違いなかったので、やや健康面に不安があるのは間違いなく、以前の状態には完全には戻らないとLADは読んでいたのかも。リーグ的にも打低のNL西からAL東ということで、07年に比べてかなり成績を落とす可能性が高いと言えますが、1年契約だしリスクは低いのでまずまずの動きかと思います。しっかり復活すればハイリターンとなりますし。
デメリットとしては、リスク回避に近い動きなので逆にBuchholzなどの不確定要素が良い方に転がった場合、枚数が重なり過ぎてロスター面で厳しくなることか。それでも、しっかり投げれているのなら出すのに困る選手でもないですし、気にするほどではないのかも。ERAで4点台前半くらいで投げてくれれば、まずは十分か。
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